この記事でわかること
視覚障害があっても海外留学に挑戦できるか知りたい、当事者の学生と保護者・教育関係者向けの記事です。筆者がアメリカ・オレゴン州の大学で受けた授業と合理的配慮の実際を紹介します。
留学の概要
| 留学先 | アメリカ・オレゴン州の大学 |
|---|---|
| プログラム | 大学のプログラム(語学特化) |
| 授業内容 | Speaking・Listening・Writing・Grammar |
現地の授業と合理的配慮のかたち
オレゴンでの留学中、私は語学に特化したプログラムに参加しました。Speaking・Listening・Writing・Grammarなどの授業を受けていました。
授業で使う資料は、先生がWordデータでメール送付してくれました。購入した教科書は、スキャンして読みやすいレイアウトに編集したデータを送ってもらいました。
心強かったのは、大学内にコンピューター支援の専門スタッフがいたことです。スクリーンリーダーで読めない資料があったときは、授業担当の先生とそのスタッフがミーティングを開いてくれました。
どうすれば使いやすくなるかを、一緒に検討する体制がありました。
読み上げが困難な資料もありましたが、先生方と試行錯誤を重ねました。その結果、自分にとって使いやすい学習環境が少しずつ整っていきました。
「あなたの見え方を知りたい」と言ってくれた先生
特に印象に残っているのは、ある先生の行動です。
その先生は「スクリーンリーダーでの読み取りがどんな風に感じるのか理解したい」と言いました。そして、自ら目をつぶって読み上げソフトを体験してくれたのです。
その話を聞いたとき、私は思わず涙が出そうになりました。視覚障害の有無に関わらず、一人の学生として向き合ってもらえていると実感した瞬間でした。
実は私は、日本の大学で視覚障害を理由に履修を断られた経験があります。だからこそ、特別扱いではなく自然に受け入れてもらえたことが、言葉にできないほど嬉しかったのです。
「前例がない」ではなく「一緒に探そう」
日本とアメリカで大きく違うと感じたのは、「まだ解決方法がないこと」への向き合い方です。
日本では「前例がないから難しい」と言われる場面が少なくありません。一方アメリカでは、最初から否定されることがほとんどありませんでした。
先生方は「これまでに同じような学生はいなかったけれど、一緒にやってみよう」と言ってくれました。時間がかかっても、さまざまな方法を試しながらベストな対応を探す「伴走型」の姿勢がありました。
留学先で役立ったこと:自分のニーズを言葉にする
アメリカでの学びのなかで気づいたのは、必要なサポートを自分の言葉で伝えることの大切さです。
- どんな場面で困りやすいのか
- どういった対応があれば学びやすくなるのか
- なぜそのサポートが必要なのか
これらを自分の経験や根拠をもとに説明できたことが、とても役に立ちました。
英語力が完璧である必要はありません。「伝えよう」とする姿勢があれば、柔軟に対応してくれる人がたくさんいました。
まとめ:環境を変えることで、自分に合う学び方に出会える
今いる場所が、必ずしも自分にとってベストな環境とは限りません。私は環境を変えたことで、一人の学生として尊重される経験を得ました。
留学を考えるときは、自分が困る場面と必要なサポートを言葉にしておくことが重要です。その準備が、現地で学びやすい環境をつくる第一歩になります。

