はじめに
「障害者手帳って、何のためにあるの?」
「もっているだけで何か特典があるの?」
「そもそも、どこで使えるのかわからない…」
視覚障害のある方やそのご家族の中には、そんな疑問や不安を感じている方も多いかもしれません。
この記事では、障害者手帳の基本的な特徴と、実際にどんな場面で使えるのかについて、視覚障害者の立場に寄り添って、やさしくご紹介します。
障害者手帳とは?|3つの種類と視覚障害者に該当する手帳
障害者手帳とは、障害のある方が各種支援やサービスを受けるための公的な証明書です。日本では以下の3種類があります。
| 手帳の種類 | 対象になる障害 | 視覚障害者は? |
| 身体障害者手帳 | 身体の機能障害(視覚・聴覚・肢体など) | 視覚障害のある方はこちら |
| 療育手帳 | 知的障害 | 該当しない |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 精神疾患 | 該当しない |
視覚障害で取得できるのは「身体障害者手帳」
視覚障害の程度によって、「1級〜6級」までの等級があります。
等級が重いほど、利用できるサービスや支援の幅が広くなる傾向にあります。
障害者手帳の主な特徴
公共料金や交通機関などで割引が受けられる
JR・バス・地下鉄などの交通機関で割引が適用されるほか、水道料金やNHK受信料なども減免対象になります。
各種福祉サービスを利用できる
移動支援、日常生活用具の給付、同行援護、介護サービスなど、手帳を提示することで申請できる支援制度があります。
就職や教育面での配慮を受けやすくなる
就職の際には障害者雇用枠の利用が可能になり、合理的配慮を受ける際の根拠としても使われます。
障害者手帳が使えるシーンまとめ|視覚障害者向けの例
ここからは、視覚障害のある方が実際に「使ってよかった!」と感じる場面をご紹介します。
電車・バスなどの交通機関
- JRや私鉄、バスなどの運賃割引
- 介助者1名分も割引対象になる場合あり
- 地域によっては無料パスの制度も
例:身体障害者手帳1級・2級所持者は、JRで運賃が半額に。(介助者と同行時のみ)

(視覚障害者が介助者と一緒にバスから降りている様子)
映画館・美術館・レジャー施設
- 映画館や博物館、動物園、水族館などで入場料割引
- 一部施設では、同伴者も割引や無料になるケースもあります。
福祉制度の申請・利用
- 同行援護・移動支援の利用
- 日常生活用具(拡大読書器、音声時計など)の給付申請
- 重度障害者医療費助成など、医療費の自己負担が軽減される場合もあります。
税制優遇・年金制度
- 所得税・住民税の障害者控除が適用
- 特定条件に該当すれば、障害基礎年金などの申請が可能
雇用や進学時の合理的配慮
- 障害者雇用枠での応募が可能に
- 企業や学校で試験配慮や設備面の支援が受けやすくなる
※合理的配慮の提供は手帳の有無にかかわらず必要ですが、手帳があることで話し合いがスムーズに進むケースも多いです。
手帳は「持っているだけ」でも安心材料に
障害者手帳は、すぐに何かを使わなくても、「いざというときの備え」として持っておくだけで心強いものです。
たとえば:
- 電車のトラブル時に駅員さんにサポートをお願いしやすくなる
- 災害時に避難所での配慮を受けやすくなる
- 本人確認の場面で「視覚に障害がある」ことが明確に伝わる
手帳の取得にはどうすればいい?
取得の手続きは、お住まいの自治体(市区町村)で行います。
主に以下のような流れです。
- 眼科医の診断書を取得(所定の様式あり)
- 市区町村の福祉課に申請書類と一緒に提出
- 審査・認定ののち、等級が決定
- 交付通知が届いたら役所で受け取り
詳しくは、お住まいの市役所・区役所の福祉窓口にご相談ください。
まとめ|手帳をきっかけに、できることが増えていく
障害者手帳は、単なる証明書ではありません。
自分らしい生活や学び、移動、働くことをサポートする「入口」でもあります。
もし手帳の申請に迷っているなら、まずは一度「相談だけ」でもしてみましょう。
支援機関や視覚支援センターなどでも、手続きの相談に乗ってくれるところがあります。
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