この記事でわかること
大学で受けられる支援の内容と相談の手順を知りたい、視覚障害のある学生と保護者・教育関係者向けの記事です。障害学生支援室の役割と、申請から支援開始までの流れがわかります。
障害学生支援室とは何をする窓口か
障害学生支援室は、障害のある学生の修学を支える相談窓口です。授業・試験・学内の移動など、学ぶうえで支障になる場面を学生が相談し、大学と一緒に対応を決めます。
名称は大学によって異なります。学生サポートセンター、アクセシビリティ支援室などの名前で設置されています。名称が違っても、担う役割は共通しています。
文部科学省の「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)」によると、令和4年度に支援の申し出などの相談を受け付ける窓口を設置している大学等は989校でした。全体の84.2%にあたります。
大学に合理的配慮の義務がある根拠
障害者差別解消法は2016年4月に施行されました。この時点で、国公立大学には合理的配慮の提供が法的義務となりました。
私立大学は当時、努力義務の対象でした。2021年に改正された同法が2024年4月に施行され、私立大学にも法的義務となりました。現在は設置者を問わず、すべての大学が合理的配慮を提供する義務を負います。
内閣府ホームページの障害を理由とする差別の解消の推進の詳細はこちら
支援は学生の申し出から始まる
合理的配慮は、大学が自動的に用意するものではありません。学生本人または保護者が、支障のある場面を伝えることが出発点です。
大学は申し出を受けて、提供できる内容を学生と話し合います。希望どおりの配慮が難しい場合もあります。そのときは大学が理由を説明し、代わりの方法を一緒に探します。この話し合いを建設的対話といいます。
視覚障害のある学生が利用できる支援
提供される支援の内容は大学ごとに異なります。ここでは、視覚障害のある学生が利用している支援の例を挙げます。
教材の点訳・テキストデータ化
教科書や配付資料を、点字やテキストデータに変換して提供する支援です。テキストデータは、音声読み上げソフトや点字ディスプレイで読めます。
点訳やデータ化には時間がかかります。授業が始まる前に、履修予定の科目と必要な形式を支援室へ伝えます。
授業中の情報保障
板書やスライドの内容を、支援学生や支援スタッフが文字や音声で伝える支援です。パソコンで入力した文字を、その場で共有する方法もあります。
試験での配慮
試験時間の延長、別室での受験、点字や拡大文字による問題の提供、パソコンでの解答などがあります。
配慮の内容は科目ごとに検討します。実技や実験をともなう科目では、別の方法を相談します。
学内の移動と環境の調整
入学した直後は、教室や食堂までの経路がわかりません。支援室の職員と一緒に構内を歩き、経路を覚える機会を設けている大学もあります。
通学そのものには、自治体の同行援護などの福祉サービスを使う場合があります。通学への利用が認められるかは、自治体によって判断が異なります。お住まいの市区町村の窓口で確認します。
支援機器の貸し出し
拡大読書器、点字ディスプレイ、録音機器などを貸し出す大学があります。貸出期間や台数に制限がある場合もあるため、支援室に確認します。
支援を申し込むまでの4ステップ
大学のウェブサイトで支援室の連絡先を調べ、相談を申し込みます。電話・メール・相談フォームなど、受付の方法は大学によって異なります。入学前でも相談を受け付ける大学があります。
見えにくさが支障になる場面と、希望する支援を伝えます。診断書や障害者手帳のコピーの提出を求められる場合があります。必要な書類は事前に確認します。
面談の内容をもとに、大学が提供できる支援を検討します。授業を担当する教員とも情報を共有したうえで、支援の内容が決まります。
決まった内容で支援が始まります。科目や体調によって必要な支援は変わるため、途中で見直しを相談できます。
面談の前に整理しておく3つのこと
1. 見えにくさが支障になる場面
「不安があります」と伝えるより、困る場面を挙げるほうが検討が進みます。
たとえば「配付資料の文字が読めません」「黒板の文字が見えません」「暗い場所では移動しにくいです」のように書き出します。
2. これまで受けてきた配慮
高校までに受けていた配慮は、大学に伝える材料になります。試験時間の延長、拡大教材の提供など、受けてきた内容を書き出します。
3. 希望の優先順位
すべてを一度に決める必要はありません。学期のはじめに必要なものと、試験期に必要なものに分けて伝えます。
入学前・受験のときにできること
受験上の配慮の申請
大学入学共通テストでは、受験上の配慮を事前に申請します。申請の期限と必要な書類は、年度ごとに決まっています。
各大学が実施する個別試験については、申請先と期限が大学ごとに異なります。募集要項を確認します。
入学前の相談
受験上の配慮と、入学後の修学支援は別の手続きです。入試で配慮を受けた場合も、入学後の支援は改めて申請します。
進学先の候補が決まったら、入学前に支援室へ問い合わせます。オープンキャンパスで支援室を訪ねる方法もあります。
よくある質問
- Q1. 障害者手帳がないと相談できませんか?
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相談できます。手帳の有無だけで支援の可否が決まるわけではありません。ただし、状況を確認する資料として診断書の提出を求められる場合があります。必要な書類は大学によって異なるため、支援室に確認します。
- Q2. 決まった支援内容を途中で変更できますか?
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変更を相談できます。科目や体調によって、必要な支援は変わります。学期ごとに支援内容を見直す大学もあります。
まとめ:進学先が決まったら、支援室に最初の連絡を入れよう
障害学生支援室は、学生からの申し出を受けて動く窓口です。連絡がなければ、支援は始まりません。
まずは大学のウェブサイトで支援室の連絡先を調べます。入学前から相談を受け付ける大学があります。
面談では、見えにくさが支障になる場面を挙げて伝えます。決まった内容は、途中で見直しを相談できます。

