この記事でわかること
身体障害者手帳で使える制度と申請の流れを確認したい、視覚障害のある方と保護者・教育関係者向けの記事です。等級と第1種・第2種の区分による違い、割引や福祉サービスの内容、申請から交付までの手順がわかります。
視覚障害で取得できるのは身体障害者手帳
障害者手帳は、障害のある方が支援やサービスを受けるための公的な証明書です。日本には3種類があり、視覚障害で取得するのは身体障害者手帳です。
| 手帳の種類 | 対象となる障害 | 視覚障害の場合 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳 | 視覚・聴覚・肢体不自由などの身体の機能障害 | 該当する |
| 療育手帳 | 知的障害 | 該当しない |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 精神疾患 | 該当しない |
複数の障害がある場合は、2種類以上の手帳を同時に持てます。
等級は1級から6級に分かれる
視覚障害の等級は、視力と視野の検査結果をもとに1級から6級に分かれます。1級がもっとも重い区分です。等級は利用できる制度の範囲に関わります。ただし制度ごとに対象等級の基準が異なるため、等級だけで使える制度が決まるわけではありません。
第1種・第2種の区分が割引の範囲を左右する
身体障害者手帳には、等級とは別に第1種・第2種の区分があります。この区分は移動の困難さをもとに判定され、等級とそのまま対応するわけではありません。鉄道やバスの割引で介護者が対象になるかどうかは、この区分で決まります。自分の区分は、手帳の「旅客運賃減額欄」で確認できます。
交通機関と公共料金で受けられる割引
鉄道・バス・タクシー
JR各社では、第1種の記載がある方が介護者と一緒に利用する場合、本人と介護者の乗車券が半額になります。距離の条件はありません。第2種の記載がある方は、介護者への割引がありません。どちらの区分でも、単独で利用する場合は営業キロ100キロを超える区間の普通乗車券が半額です。
バスの割引は事業者ごとに内容が異なります。地域によっては、自治体が発行する無料乗車証の制度もあります。タクシーは運賃の割引を行う事業者が多く、割引率や利用券の制度は地域によって異なります。
航空運賃
国内線の航空運賃は、手帳を持つ方と介護者1名が割引の対象です。鉄道と違い、第1種・第2種による差はありません。対象年齢と割引率は航空会社ごとに異なります。
NHK受信料の免除
NHK受信料には全額免除と半額免除があります。全額免除の対象は、世帯全員が市町村民税非課税で、世帯内に手帳を持つ方がいる場合です。半額免除の対象は、視覚障害または聴覚障害の手帳を持つ方が世帯主で、受信契約者である場合です。半額免除に等級の条件はありません。
自治体ごとに異なる減免
水道料金、下水道料金、粗大ごみ処理手数料などの減免は、自治体が独自に定めています。対象等級と減免額は市区町村ごとに異なります。お住まいの自治体の窓口で確認する内容です。
申請できる福祉サービス
同行援護
同行援護は、外出時にガイドヘルパーが同行し、移動の支援と情報の提供を行うサービスです。障害者総合支援法にもとづく制度で、市区町村に申請します。
利用には、身体障害者手帳の交付を受けていることが前提となります。そのうえで、アセスメント調査票による調査を受けます。基準に該当し移動に困難がある方は、手帳の等級にかかわらず対象です。利用できる時間数などの運用は自治体によって異なります。
日常生活用具の給付
日常生活用具の給付では、拡大読書器、点字ディスプレイ、音声式の体温計や血圧計などが対象になります。費用の一部を自己負担して購入する仕組みです。対象品目、基準額、自己負担の割合は自治体ごとに定められています。
医療費の助成
重度の障害がある方の医療費を助成する制度が、多くの自治体にあります。対象となる等級と所得の条件は自治体ごとに異なります。
税の控除と障害年金
所得税・住民税の障害者控除
手帳を持つ方は、所得税と住民税の障害者控除の対象です。所得税の控除額は27万円です。手帳に1級または2級と記載されている方は特別障害者に該当し、控除額は40万円になります。住民税にも障害者控除があり、控除額は所得税と異なります。手帳を持つ家族を扶養している方が申告する場合も対象です。
障害年金は手帳とは別の制度
障害年金の等級は、手帳の等級とは別に判定されます。手帳が1級でも、障害基礎年金が支給されるとは限りません。申請先は年金事務所または市区町村の年金窓口です。
就職・進学の場面で手帳が関わること
障害者雇用枠の応募には手帳が必要
障害者雇用率制度では、手帳を持つ方が企業の実雇用率の算定対象になります。そのため、障害者雇用枠の求人では手帳の所持が応募の条件とされています。手帳がない場合は、一般雇用枠での応募になります。
合理的配慮に手帳は必要ない
障害者差別解消法は2016年4月に施行されました。2024年4月からは民間の事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられています。配慮を求めるために手帳は必要ありません。学校や職場に状況を伝える資料として、手帳や診断書を使う方法もあります。
身体障害者手帳を取得する手順
申請の手続きは、お住まいの市区町村の福祉担当窓口で行います。交付までの期間は自治体によって異なります。申請の際に窓口で目安を確認する方法があります。
市区町村の福祉担当窓口で、申請書と診断書の用紙を受け取ります。診断書は所定の様式のみが有効です。
都道府県知事が指定した医師(指定医)の診察を受け、診断書を作成してもらいます。眼科であればどの医師でもよいわけではありません。
申請書、診断書、顔写真、マイナンバーの確認書類を窓口に提出します。必要書類は自治体によって追加される場合があります。
審査を経て等級が決まり、交付通知が届きます。通知が届いたら、窓口で手帳を受け取ります。交付までの期間や受け取りの方法は自治体によって異なります。
よくある質問
- Q1. 等級に変動はありますか。
-
障害の程度が変わった場合は、等級が変わることがあります。本人が変更を申請する方法のほか、手帳の交付時に再認定の時期が指定される場合もあります。いずれも指定医の診断書が必要です。
- Q2. 療育手帳や精神障害者保健福祉手帳と同時に持てますか。
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持てます。視覚障害と知的障害、視覚障害と精神疾患など、対象となる障害が複数ある場合は、それぞれの手帳を取得できます。
- Q3. 申請に費用はかかりますか。
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手帳の交付にかかる費用と、診断書の作成費用の扱いは自治体によって異なります。診断書の費用を助成する制度を設けている自治体もあります。申請の前に窓口で確認する内容です。
まとめ:等級と区分を確認して、使う制度から申請する
身体障害者手帳は、割引や福祉サービスを利用するための入口になります。取得を検討する場合は、次の順で確認する方法があります。
- 自分の等級と第1種・第2種の区分を確認する
- 交通機関、税、福祉サービスのうち、日常で使う制度を選ぶ
- 自治体ごとに条件が異なる制度は、市区町村の窓口で確認する
申請の第一歩は、市区町村の福祉担当窓口で診断書の様式を受け取ることです。
